016章 酒に酔えば深さを知る(三)

外の夜はだんだんと暗くなり、道路を走り過ぎる車も少なくなってきた。冷たい風が吹き抜け、遠い空から微かな湿り気が漂ってきた。しばらくすると、一面の霞がかった感覚が瑞穂市全体を包み込み、風で乾いていた通りにも再び湿り気が現れ始めた。

星野夏子は娯楽施設からよろよろと出てきた。頭の中ではまだ冴えていると感じていたが、体全体がふらついており、まともに立っていることもできなかった。

彼女は自分がどれだけ飲んだのか覚えていなかった。ただ、最初は体が燃えるように熱くなり、その後麻痺し、全身が冷たくなって何も感じなくなったことだけを覚えていた……

手で触れるものを頼りに、何とか体を支えながら、自分の車の方へ苦労して歩いていった。車の鍵を取り出して、ドアを開けようとしたが、手は震えて言うことを聞かず、気がつくと鍵がどこかに落ちてしまっていた。

冷たい風と雨が容赦なく侵入してきて、彼女はまるで一瞬火の中に投げ込まれ、次の瞬間には氷と雪の世界に放り込まれたかのようだった。吹きつける冷たい風で頭が痛み始め、ひどくぼんやりとし、胸に突然の痛みを感じると、全身の力が抜け、車のドアに寄りかかったまま地面に倒れ込んだ……

突然、目が熱くなり、胸の詰まった感覚と喉の奥に押し込められた苦さが一気に上がってきて、彼女はほとんど崩壊しそうになった。

何度も、彼女はこうして思い切り泣きたいと思い、何度も、酔って全てを忘れたいと思った。しかし、頭の中の冷静で叫び続ける理性が、そうすることを許さなかった。

彼女の目は乾いていた。一滴の涙も落とせないほど乾いていた。

そうだ、彼女の涙は何年も前に枯れ果てていた。今では乾き切って、半滴の涙も流せなくなっていた。

橋本楓、あなたは決して知ることがないでしょう。あなたに愛されるために、私がどれほど命がけで努力したか……

もっと多くのことをすれば、感動と温かさがどんどん積み重なって、いつか彼が振り返ったとき、彼女の良さに気づいてくれるかもしれないと思っていた。結局のところ、彼らには婚約があったのだから、そうではないか?

……