013章 寂しさの香り(二)

藤崎家、須藤家、渡辺家は何代にもわたる付き合いがあり、非常に友好的な関係を築いていた。

渡辺薫、須藤旭、藤崎輝は幼い頃から同じ敷地内で育ち、幼なじみだった。三人は小さい頃から同じクラスに通い、大学も同じ軍事学校に進学した。専攻は異なるだけだった。

そのため、三人は幼なじみであり、親友であり、さらには同級生であり、戦友でもあった。

実は三人とも軍事学校に進むことを望んでいたわけではなかった。ただ家の頑固な年寄りたちが軍隊生活を体験させたいと主張し、また軍事的な管理制度が彼らの成長に良いと考えたからだった。そこで三家の年寄りたちが相談した結果、三人を軍事学校に送り込んで鍛えることにしたのだ。

大学卒業後、彼らは軍隊で数年間勤務した。その後、藤崎輝と渡辺薫は家族のビジネスの関係で退役し、家業を継ぐことになった。一方、須藤旭は交通管理局に転職し、現在はその上層部にまで上り詰めていた。三人とも若くして成功を収めた優秀な男たちだった。

「突然帰ってきたけど、決心がついたの?本当に清川を引き継ぐつもりなの?」

須藤旭は目の前のウイスキーを一口飲み、中央のソファに無表情で座っている藤崎輝を半笑いで見つめながら尋ねた。

須藤旭の言葉を受けて、向かい側に座っていた渡辺薫の端正な顔にも微笑みが浮かび、穏やかな口調で言った。「先日、藤崎家のお婆様が体調を崩されたと聞いて、特別にお見舞いに伺ったんだ。お元気そうな様子を見て、きっと海外にいる誰かを呼び戻したいんだろうなと思ったよ。」

「そうだよな。お前が何年も離れていたから、先月薫が渡辺家の全権を引き継いだ時の感謝パーティーに、お爺さんが来てたけど、あの表情はあまり良くなかった。だからすぐにお前を呼び戻して、清川の重責を任せたいんだろう。」

須藤旭は唇に微笑みを浮かべながら、興味深そうに藤崎輝を見つめた。

藤崎輝は深く底知れない目を上げ、二人を淡々と一瞥した。眉間には少し疲れの色が見え、低く落ち着いた声でゆっくりと言った。「海外に長くいすぎた。ここに帰ってきた方がいい。」

「ということは、本当に清川を全面的に引き継ぐんだな?まあ、今でも完全に引き継いでいるのと変わらないけどね。お爺さんはとっくに裏方に回って、手を引いているようなものだし。」