病室内はすぐに静寂を取り戻した。
星野夏子はつい先ほど閉まったドアをずっと見つめていた。澄んだ瞳に一瞬の恍惚が浮かび、隣にいた藤崎輝が薬の包みを開けて彼女の前に差し出すまで、彼女は我に返らなかった。
「人はもう行ったのに、何を見ているんだ?明日の朝には婚姻届が届くよ。薬を飲んで、早く良くなるんだ」
低い声には微かな温かみが混じっていた。星野夏子は目を上げ、彼をじっと見つめた。彼の黒い瞳に浮かぶ心配の色を見て、少し間を置いてから手に持った薬を受け取り、「何があったか聞かないの?」と尋ねた。
星野夏子は真剣に彼を見つめて質問した。
彼女の言葉が落ちると、藤崎輝は少し躊躇した後、微笑んで彼女に水を差し出し、落ち着いた声で言った。「肩を一刀で貫かれたんだ。君が勇敢だったかどうか聞いてほしいのか?それとも度胸があったかどうか聞いてほしいのか?」