第161章 涼夜微暖（一）

彼は机に座り、黙って画面を見つめていた。動かず、心の中にどんな感情があるのか言い表せなかった。ただ、何か大切なものが心の中から徐々に遠ざかっていくような気がしていた。それが何なのか言葉にできなかった。

心の奥底に埋もれていた一角が少しずつ空っぽになっていき、目の前が一瞬空白になった。彼がクリックした一通のメールが点滅し、彼の前に現れた。その気遣いの言葉が目に入ると、彼はようやく落ち着きを取り戻した。

それはすべて星野心から送られてきたメールで、通常は彼を気遣う言葉ばかりだった……

当時、そのようなメールを受け取るたびに、彼の心は温かさを感じていた。

このプライベートメールアドレスを知っている人はほとんどいないことを思い出した。星野心は彼の愛する女性だから、当然知っているはずだ……

そう思うと、彼の心の空虚な部分はほぼ埋まった。深く息を吸い込み、目を伏せると、星野夏子のか細い姿が彼の脳裏に浮かんだ。

「服は車に置いておいたわ。向こうは寒いから、持っていってね」

「大丈夫よ、疲れているなら休んで。私は一人で帰るから、送らなくていいわ」

そして脳裏のイメージがまた一瞬過ぎ、星野心のあの愛らしく憐れみを誘う姿が彼の脳裏に浮かんだ——

「楓、服をたくさん着てね。今日新しいコートを買ったの、明日着て見せるわ！」

「楓、私を送ってくれない？一人だと少し怖いの……」

彼女と心との間に何か違いがあることを捉えようとしたが、それらの思いは脳裏を一瞬で過ぎ去り、捉えきれないほど速かった。彼は突然立ち上がった——

「バン！」

動きが大きすぎて、袖が机の上のクリスタルグラスを倒してしまった。鋭い割れる音がして、グラスは粉々になり、中に入っていた星の形をしたものが床一面に散らばった。バラバラに、色とりどりに……

彼は床に散らばった星々を見下ろしながら、こんな場面が頭をよぎった——

「あなたの誕生日に何をプレゼントしようか考えたけど、これを贈るのがいいって聞いたの。あなたのすべての願いが叶いますように」

彼はもうどの誕生日だったか覚えていなかった。彼女は真夜中の12時に自転車をこいで彼の家の下まで来て、彼を呼び出し、この星でいっぱいの瓶を彼に渡した。

……