星野心は鏡の中で黄前珊瑚の愛らしく魅力的な小さな顔を見つめ、彼女の目に抑えきれない恍惚感を見逃さなかった。しばらく考え込むように彼女を見つめ、目の奥に一瞬かすかな光が走った。何か言おうとしたが、黄前珊瑚が突然こっそり笑い出したのを見て、結局何も言わなかった。
どれくらい時間が経ったか分からないが、メイクアップアーティストはようやく二人のメイクを終えた。
星野心はナチュラルメイクだったが、黄前珊瑚は鮮やかな赤いイブニングドレスに合わせて濃いめのメイクをしており、どちらも素敵に見えた。
「心、いとこに電話してね。私の会社の社長がもうすぐ来るから、先に行くわ。待たせるのも悪いし」
黄前珊瑚は片手でドレスの裾を軽く持ち上げ、鏡の中の自分を満足げに見ながら笑顔で言った。
星野心は快く頷き、思いやりを込めて言った。「いいわ、先に行って。今すぐ楓に電話するから」
「うん、向こうで会いましょう。今夜あなたが輝いて、みんなを魅了することを期待してるわ!」
黄前珊瑚はそう言いながら、自分のハンドバッグを掴んで外に向かおうとした。しかしその時、星野心が突然声をかけた。「珊瑚、ちょっと待って!」
「何かあった?」
星野心のそんな急な呼びかけに、黄前珊瑚はすぐに足を止め、驚いて星野心の方を振り返った。
星野心は素早く自分のハンドバッグを開け、中から透き通るような翡翠のブレスレットを取り出し、黄前珊瑚に近づいた。彼女の白玉のように細く美しい手を取り、ゆっくりとそのブレスレットをはめた。瞬く間に、そのブレスレットは黄前珊瑚の白い手首に収まり、雪のような肌色に映えて非常に美しく見えた。
星野心は黄前珊瑚の手を優しく握りながら笑顔で言った。「どう?こうするともっと素敵に見えるでしょ!」
「心……」
黄前珊瑚は手首に突然現れた透き通るブレスレットを見て、心が動かされ、感謝の気持ちを込めて星野心を見つめた。「このブレスレット……いとこがあなたの誕生日プレゼントにくれたものじゃない?」
「あなたにあげるわ。あなたが身につけた方が似合うし、見て、本当に素敵!この服装にぴったりよ!」