第233章 かっこいい藤崎さん(1)

星野心は泣き崩れ、青白く憔悴した小さな顔は非常に哀れに見えた。橋本楓は彼女をじっと見つめていたが、その目は少し冷たく寂しげだった。

かすかに思い出した。星野心の言ったことは確かに嘘ではなかった。星野夏子が15歳の時、星野陽と橋本おじいさんは確かに彼と夏子の婚約について話し合い、夏子が20歳になってから結婚式を挙げる予定だった。

そして当時の彼は、星野夏子をただの妹のように見ていただけで、婚約のことについても抵抗があったようだ。その後…

もし星野心が刺されて怪我をしたあの事件が起きていなければ、おそらく彼はとっくに星野夏子と婚約し、今頃はすでに結婚していたかもしれない。

まるで、すべてのことがあの事件をきっかけに転機を迎えたようだ。

橋本楓の心には言い表せない感情が渦巻いていた。しばらくして、彼はやや物思いにふけるように目を閉じ、息を吸い込み、冷たく身を翻し、再び彼に抱きついてきた星野心の腰に回された両手を引き離し、デスクに向かって歩いていった。