清明の季節、細かい雨が降り続き、幾度かの軽やかな雨が降ると、瑞穂市全体が霞んだ風景に包まれた。冷たい風は相変わらずで、どんよりとした空模様は人の心まで圧迫するようだった。
橋本氏の社長室内では、何日も姿を消していた橋本楓が、今ソファに寄りかかりながらグラスを手に、一杯また一杯と酒を口に流し込んでいた。
かつての端正な顔に宿っていた冷たさや格好良さはもはやなく、今残っているのは寂しさと青白さ、全身から漂う疲弊感だけだった。
会社は休みで、今や社内は空っぽで、誰一人として影もなく、陰鬱な霧雨に包まれ、静寂が人の息を詰まらせるほどだった。
傍らのテーブルに置かれた携帯電話は絶え間なく振動し続け、一度も止まる様子はなかったが、その持ち主は一度も電話に出ようとしなかった。心地よい着信音が静かで重苦しい空間に流れ、一層冷たく感じられた。
どれくらい時間が経ったか分からないが、ようやく携帯の音が静まり返った時、ドアの外からノックの音が聞こえた。彼が応答するのを待たずに、外の人はすでにドアを開けていた。
来訪者はなんと橋本宇だった!
橋本宇がドアを開けるとすぐに、濃厚な酒の匂いが鼻を突いた。彼はすぐに眉をひそめ、前方を見やると、案の定、酔いつぶれている橋本楓の姿があった。
「楓!」
眉をひそめながら、橋本宇は橋本楓に大股で近づき、彼の手からグラスとボトルを奪い取った。そして横のテーブルには既に空き瓶が散乱し、床には吸い殻が散らばっていることに気づいた。
「もう飲むな、今どんな状態だ!あまりにもみっともない!」
橋本宇は顔を曇らせ、橋本楓を引き起こそうとしたが、橋本楓に振り払われた。血走った目で橋本宇を見つめ、ネクタイを引っ張りながら、かすれた声で言った。「父さん、邪魔しないでくれ。一人で静かにしたいんだ。」
「楓、もういい加減にしろ。この数日間、みんなが探しても見つからなかったんだぞ。一体どうするつもりだ?お前の祖父はもう怒り狂っている。そろそろ家に帰るべきだ!」
橋本宇も怒りを隠せなかった!
彼はこの息子をよく知っていた。幼い頃から珍しい宝物のように皆に大切にされ、常に自分勝手で傲慢で、挫折や打撃を経験したことがなかった。こんなことが起きれば耐えられないだろうと分かっていた。今や酔っ払いになってしまったように。