360章 藤崎さんへの贈り物(二)

なるほど、昨日彼女が散歩中に突然見当たらなくなったわけだ。あの時は心配したが、後になって彼女が神秘的な様子で戻ってきたのだった。

「これが、私からの結婚プレゼントよ。私はお金持ちじゃないから……」

それを聞いて、彼は思わず低く笑った。「財政権はすべて君に任せているよ、奥さん……」

「それとこれとは意味が違うの」

彼女は真剣で頑固な表情で彼を見つめ、輝く瞳には色褪せない純真さと無邪気さが宿っていた。そんな彼女を見ていると、藤崎輝は突然、自分が若かった頃の純粋な時代に戻ったような気がした。あの頃の彼らは、心が単純で今のように複雑ではなく、今の彼女のようだった……

本当に宝物を見つけたものだ。会社では手腕のある、深みのある成熟した女性リーダーなのに、今彼が見ている彼女はまるで成長したばかりの少女のようだった。

……

夫婦二人が静かに朝食を楽しんでいる時、真と藤崎凌子もやってきて、ちょうど一緒に朝食をとることになった。もちろん須藤旭も一緒だ。

「もうそんなに早く帰るの?本当は海辺で遊ぼうと誘おうと思ってたんだけど、真の怪我のことを考えると、やめておいた方がいいかな」

須藤旭は昨夜かなり飲んでいて、まだ酔いが残り頭が痛かった。真と藤崎凌子が今日の午後には帰ると聞いて、少し驚いていた。

「向こうには世話をする人がいるから、安心して」

藤崎輝は淡々とした表情で答えながら、隣に座っている星野夏子と藤崎凌子の二人の女性にミルクを注いであげた。

「そうだな、真、帰ったらゆっくり休むといい。長い間忙しかったから、疲れているだろう。薫のやつは今回もきっと良い酒を持ち帰っているはずだ。明後日にでも彼の家に突撃して、いい酒を何本か引き出せないか見てみろよ。あいつは最も狡猾だからな、いつも俺と輝が悪役をやらされて……」

「ハハハ、旭兄さん、そう言えば思い出したわ。あの年、中央区で兄さんと旭兄さん、それに渡辺薫が教務課のあの魔女をからかった事件で家から罰を受けて、三ヶ月間お小遣いを絶たれたとき、兄さんと旭兄さんは保護費を集めに行ったわよね。薫はいつも『これはあまり良くないんじゃないか?あれはあまり良くないんじゃないか?後輩をいじめるのは良くない……』なんて言いながら、結局いつも一番早くお金を取っていたのよね!」