360章 藤崎さんへの贈り物(二)

なるほど、昨日彼女が散歩中に突然見当たらなくなったわけだ。あの時は心配したが、後になって彼女が神秘的な様子で戻ってきたのだった。

「これが、私からの結婚プレゼントよ。私はお金持ちじゃないから……」

それを聞いて、彼は思わず低く笑った。「財政権はすべて君に任せているよ、奥さん……」

「それとこれとは意味が違うの」

彼女は真剣で頑固な表情で彼を見つめ、輝く瞳には色褪せない純真さと無邪気さが宿っていた。そんな彼女を見ていると、藤崎輝は突然、自分が若かった頃の純粋な時代に戻ったような気がした。あの頃の彼らは、心が単純で今のように複雑ではなく、今の彼女のようだった……

本当に宝物を見つけたものだ。会社では手腕のある、深みのある成熟した女性リーダーなのに、今彼が見ている彼女はまるで成長したばかりの少女のようだった。