朝食を終えて食器を片付けると、星野山は出かけた。一輝は早朝から階下で待っていて、星野山が中から出てくるのを見ると、素早く近づいて車のドアを開けた。
車のエンジン音がかすかに聞こえてきて、深田文奈はようやくゆっくりとカーテンの端をめくって下を見た。黒い車がゆっくりと前方の大通りへ走り去っていくのが見えた……
しばらくして、彼女はカーテンを下ろし、目を閉じて、軽く息を吸った。
少し落ち着いて、書斎を出ようとした時、携帯が大きく振動し始めた。手に取って見ると、なんと須藤菜々からの電話だった。
そこで思い出した。帝光ファッションシティでファッションショーとジュエリーショーがあるという話を聞いていた。以前、星野夏子も言っていたことがあり、深田文奈はファッションにいくらか興味があったので、時間があれば見に行くと言っていた。
おそらく今頃は決勝の時期だろう。
数日前、松本朋香から電話があり、一緒に見に行かないかと誘われた。女性が集まると、通常の話題は服や美容、健康についてで、深田文奈と松本朋香も例外ではなかった。
藤崎輝と星野夏子が結婚した後、以前は関係が冷めていた深田文奈と藤崎川・松本朋香夫妻の間は親密になり、松本朋香はよく深田文奈を誘ってエステなどに行くようになった。
深田文奈は星野山と離婚して何年も経つが、自分の社交圈を持ち、女性が追求すべき質の高い生活を送っていた。この点では、星野夏子とは少し違っていた。星野夏子はワーカホリックだった。
「深田おばさん、明日が決勝ですよ。夕方にお迎えに行きましょうか?夏子と藤崎若旦那は東浜市にいて、帰ってくるのはあと数日かかりそうです!」
須藤菜々の声が電話から聞こえてきた。
「ええ……夏子と輝が東浜市にいるの?」
深田文奈は少し驚いて尋ねた。
「はい、何か急用があるみたいです。でも大丈夫ですよ、夏子がおばさんに付き添えなくても、私がいますから同じことです。母たちも見に行くと思います。深田おばさんはチャイナドレスがお好きでしたよね?今回はチャイナドレスのショーもあるそうですよ。気に入ったものがあれば、後でオーダーメイドしましょう。おばさんは体型維持が素晴らしくて、若くて美しく見えます。まるで二十歳前後の娘さんみたいです。私の母とは違いますよ、あの体型と雰囲気では、着たくても着られません!」