朝食を終えて食器を片付けると、星野山は出かけた。一輝は早朝から階下で待っていて、星野山が中から出てくるのを見ると、素早く近づいて車のドアを開けた。
車のエンジン音がかすかに聞こえてきて、深田文奈はようやくゆっくりとカーテンの端をめくって下を見た。黒い車がゆっくりと前方の大通りへ走り去っていくのが見えた……
しばらくして、彼女はカーテンを下ろし、目を閉じて、軽く息を吸った。
少し落ち着いて、書斎を出ようとした時、携帯が大きく振動し始めた。手に取って見ると、なんと須藤菜々からの電話だった。
そこで思い出した。帝光ファッションシティでファッションショーとジュエリーショーがあるという話を聞いていた。以前、星野夏子も言っていたことがあり、深田文奈はファッションにいくらか興味があったので、時間があれば見に行くと言っていた。