翌日、夫婦二人は早起きし、ゆっくりと朝食を済ませてから直接出勤した。
昨日一緒に修正し終えた図面を手に、星野夏子は朝会を開き、事項を明確に伝え、皆の意見をまとめた。ほぼ午前中いっぱい忙しく働き、ようやく仕事を片付けることができた。
ここ数日、彼女の会社での仕事は主に藤崎輝を補佐することだった。木村大輔も副社長の松尾涼介と忙しくしており、藤崎輝は彼女の手元のプロジェクトを他の人に割り当てたため、今や彼女はむしろ暇な身分となっていた。
藤崎輝のオフィスでは、藤崎輝がデスクに座って副社長の温井海に指示を出している間、星野夏子はデスクの横に立ち、一束の書類をファイルに入れながら、まだ電話中の彼を見ていた。
少し躊躇した後、彼を邪魔せずに直接行こうと思い、ちょうどファイルを手に取った時、男性も電話を切った。
「どこに行くんだ?」
彼女が振り向こうとするのを見て、彼は突然手を伸ばして彼女を引き止めた。
「書類を斉藤凱のところに届けに行くの。いくつか細かい点を伝えなきゃいけないから。今10時過ぎだから、そこに着くのが11時、説明が終わるのが12時で、ちょうど昼休みになるわ。私はここに戻って昼食は取らないから、あなたは秘書に食事を持ってきてもらって。午後には戻って出社できると思う」
星野夏子は説明しながら、彼の手元の引き出しを開け、車のキーを取り出した。「お昼は外出しないよね?車で行ってくるわ…」
「早く戻ってきてくれ。午後は南浦のほうに一緒に行く」
彼はそう言い残し、手元に置いていた携帯電話を彼女に渡した。
星野夏子はうなずいた。「うん、行ってくるね」
……
斉藤凱に到着すると、彼女を出迎えたのは斉藤礼だった。彼の様子は昨日よりは良さそうだったが、声はまだかすれて乾いていた。ただ、昨日のようにひどく咳き込むことはなかった。
「私たちの方ではおおむね承認されたわ。ただいくつか細かい点に注意してほしいだけ。これが修正後の設計図だから、見てみて、何か理解できない部分があれば言って」
ソファに座った星野夏子は真面目な表情で話し始め、細く白い指先で斉藤礼の前に広げられた書類を軽く指さした。「ここ、清川のロゴに変えてほしいの。この地域は将来、南浦の人々の主要なレジャー・娯楽の場になるから、斉藤凱が担当するこの部分は最も重要なところよ」