夜も更け、人々も静まり返った藤崎家の旧邸。
夕食後に簡単にお茶を飲んだ後、家族はそれぞれ休みに戻った。この時、大野恵子は書斎の机に座り、自分の手帳を整理していた。それは以前彼女が部隊で働いていた時の些細な出来事や写真だった。暇な時にこれらを取り出して見ると、いつも思い出がよみがえってくる。今は年を取り、これらの写真を見ながら昔を懐かしむだけだ。若かった頃に何をしていたのか、どんなことが忘れられないほど印象に残っているのかを思い返していた。
藤崎悠は彼女のすぐ近くの籐椅子に座り、老眼鏡をかけ、本を手に取って読んでいた。
「ああ、お爺さん、私は本当に年を取ったと感じるわ。これらの写真を見るたびに、心の中にたくさんの感慨が湧いてくるの。昨日部隊に入ったばかりのような気がするのに、どうして今はあっという間に年を取ってしまったのかしら?」
大野恵子は痩せた指で既に黄ばんだ写真を撫でながら、思わず口を開いた。
大野恵子の言葉が落ちると、藤崎悠は本から顔を上げて自分の妻を見た。彼女が感慨深げな様子を見て、思わず言った。「年を取ったなら取ったでいいじゃないか。それとも二十歳そこそこの娘だと思っているのか?川だって五十過ぎだぞ!」
「体が丈夫なうちはまだいいけど、あと数年長生きして、輝と夏夜の子供が大きくなるのを見たいわ。ああ、どうして何の兆しもないのかしら?結婚して半年以上経つのに、何の知らせもないなんて。お爺さん、彼らはこのことを急いでいないのかしら?輝はもうすぐ三十二歳になるのよ。この年齢で何かあったら...考えるだけで怖くなるわ。夏夜も二十七、八歳でしょう?」
この話題になると、大野恵子は心配になった。
「若い人たちの考えは、私からのアドバイスだが、あまり干渉せず、自然に任せるのがいいよ。それに、今は子供たちも忙しいし、深田勇のような老人も引退する頃だ。彼は私たちよりも大変だ、子供たちの助けになれば少しは心配を減らせるだろう。この深田勇、一人ぼっちの老人なのに、なぜ自分のパートナーを見つけようとしないんだろう?梁本栄華があんなに長い間いないのに。」
藤崎悠はため息をつくように言った。