第46章 彼に会うことを諦めろ

「——彼を傷つけないで、何かあるなら私に向かってきて」

霧島咲姫は目が赤くなるほど焦り、下唇を強く噛みながら、目の前の女性に必死に手振りで訴え、自分の子供を見逃してくれるよう懇願した。

彼女にとって、煌が入院したのは、間違いなく目の前のこの女性と無関係ではないはずだった。

「霧島咲姫、あなたの大切な息子が死んでこそ、連真は私のものになるのよ。恨むなら、あの息子を恨みなさい。私の邪魔をしたのだから」東條未煙は、それまでの優しく温和な態度を一変させ、目には得意げな色が浮かんでいた。

彼女が生涯最も好きなことは、霧島咲姫が苦しむ姿を見ることだった。

彼女が苦しめば苦しむほど、自分の体内の血液はより沸騰した。

やはりそうだった。

霧島咲姫は前に出て、彼女の服を引っ張った。夏の服はもともと薄く、東條未煙は彼女に引っ張られるのにうんざりし、手のひらで彼女を押しのけた。

「私から離れなさい、貧乏くさい」

——煌は無実よ、私は何でもあげるから、子供だけは無事にして、彼を傷つけないで。

彼女は怒りで顔が真っ青になり、涙に濡れた目で睨みつけたが、少しも譲る気配はなかった。

子供のためなら、どんな屈辱も耐えられる。

神城家がこんなに彼女を辱め、霧島家がこんなに彼女を中傷しても、構わない。

煌が無事でいてくれれば、それでいい。

「彼は一週間も睡眠薬を飲まされていたわ。もう死に近いでしょうね。霧島咲姫、今すぐ子供を連れて出て行くか、それとも神城家に遺体を引き取りに来るか、どちらかしかないわよ」彼女のさらりとした数言が、咲姫を完全に奈落の底に突き落とした。

遺体を引き取る。

霧島咲姫は全身が氷の穴に落ちたような寒さを感じた。彼女は全身を震わせ、歯を食いしばって叫ぼうとしたが、喉からはかすれた声しか出なかった。

「煌に何かあったら、あなたが無事に神城家を出られると思う？神城連真はあなたを信じているかもしれないけど、お父さんはそうじゃない。彼は絶対にあなたが彼を欺くのを許さないわ」霧島咲姫は怒りのあまり、もはや手話を使わず、直接タイプし始めた。

東條未煙は神城淵司の名前を聞いただけで、怒りがさらに増した。

腕を上げて彼女の手からスマートフォンを叩き落とした。二人は階段にいて、高所から物を投げるような姿勢で、スマートフォンは階下に投げ捨てられた。