「——お爺様と一緒に行きたいです」
霧島咲姫が同意したのを見て、神城家の大爺様はようやく安心したように微笑み、ゆっくりと手を伸ばして彼女の肩を軽く叩いた。
「そういうことなら、簡単に荷物をまとめて、すぐに私と一緒に行くといい」
霧島咲姫はベッドから起き上がり、ゆっくりと息を吐き出すと、すぐに荷物をまとめ始めた。この時、彼女の気持ちは特に喜びに満ちていた。
しかし、その後、霧島咲姫は何かを思い出したかのように、彼女の口元の微笑みが徐々に消え、両手を無意識のうちにきつく握りしめた。
——でも私の煌は…どうしたらいいの。
神城連真はここ数日、自分が神城煌に会いたいという行動を止めなかったとはいえ、それでも霧島咲姫は神城連真が簡単に子供を自分に渡すとは思えなかった。
「咲姫さん、大旦那が荷物をまとめるのを手伝うように言われました」
霧島咲姫がベッドの端に一人座って呆然としているとき、菅田ママがゆっくりと入ってきた。彼女は霧島咲姫が眉をひそめているのを見て、目に心配の色が浮かんだ。
「霧島さん、どうしたんですか?大爺様があなたを屋敷に連れて行って療養させようとしているのは、良いことではありませんか?なぜそんなに不機嫌そうなのですか」
菅田ママの言葉を聞いて、霧島咲姫は我に返り、彼女に微笑みかけてから、軽く息を吐いた。
——お爺様がこうしてくれるのは私を助けるためだとわかっています。でも、こんな恩義は、私には受けきれないのです。
菅田ママは口元を少し上げ、ゆっくりと霧島咲姫の隣に座り、手を伸ばして彼女の背中を優しく叩いた。
「私が思うに、大爺様はあなたを本当の孫娘のように扱っているのよ。何も負担に思う必要はないわ。ただあなた自身でいるだけで十分よ」
霧島咲姫はゆっくりと頷いた。菅田ママが側で手伝ってくれたこともあり、また霧島咲姫の持ち物もそもそと多くなかったので、すぐに片付けることができた。しばらくすると、二人は同時にリビングに現れた。この時、神城家の大爺様はすでにリビングで待っていた。
「連真はどこだ?」
この時、神城家の大爺様は少し首を傾げ、傍らにいる一条執事に尋ねた。表情はあまり嬉しそうではなかった。
「大爺様、会社の方で急用があり、ご主人はすでに処理しに行かれました。ご主人に一言、あなたがお帰りになることをお伝えしましょうか」