「咲姫!どこにいるの?」神城連真は彼女の車が会社にあることを確認し、すぐに駆けつけたが、オフィスには誰もおらず、今日は社内の事情でカメラが点検中だったため、何も確認できなかった。
「神城社長、焦らないでください。門衛によると奥様は入ってきましたが、出ていないそうです」そう聞いて範囲が絞られ、会社内を探せばいいことになった。
夜の10時、ついに研究部で見つかった。神城連真は息も絶え絶えの霧島咲姫を抱きかかえて会社から走り出し、車で病院へ急いだ。
「咲姫、大丈夫だよ。きっと大丈夫だから」彼は彼女の冷たくなった体を優しくさすり、自分のスーツを彼女にかけた。しかしこの時の霧島咲姫は空腹と寒さで衰弱し、わずかな意識しかなかった。
連真。連真、やっと来てくれたのね。
彼女の目には安堵の色が浮かんでいた。彼女はずっと知っていた、あなたが私を救いに来てくれると。