第216章 気にしすぎた

一方では。

リサは思い切って祝うことにした。今回のイベントに無事参加できたのだから、どんな形であれ、自分を労わる必要があった。

実際、リサはただ自分の心を慰めたかっただけだ。あのイベントは彼女をとても不安にさせたので、美味しい食事でその穴を埋めたかっただけだ。

朝霧翔真はリサをあるレストランに連れて行った。

そこはロマンチックで、恋人たちのデートスポットだった。

リサは拒まなかった。

どのみち、二人の関係は彼女にとって常に明確だった。

彼女の心の中で翔真の居場所はまったくなかったが、今彼がしていることはこの5年間の埋め合わせだと思うことにした。

席に着くとすぐに、翔真はかなり緊張していた。彼は神城連真に認識されることを恐れ、連真が簡単に咲姫を奪ってしまうことを恐れていた。彼は心の中で特に恐怖を感じていたが、それをどう表現すればいいのかわからなかった。

霧島咲姫は翔真の向かいに座り、今日の翔真がどこか普段と違うように感じた。動作も表情も、どれも緊張しているようだった。実際、彼女の内心も緊張していた。

彼女は無意識に深呼吸し、意図的に自分の表情をリラックスさせ、ついでに肉を一切れ取って翔真の茶碗に入れた。

「どうしたの?翔真、今日のあなたはいつもと違うように感じるわ。なんだか落ち着かない様子ね。何かあったの?」

翔真は笑ったが、その顔は明らかに楽しそうではなかった。

「君があのイベントに参加するのが、どうも心配で。神城連真は今回は気づかなかったけど、次は必ず君を探し続けるだろう。」

彼は彼女を心配し、彼女が自分を見失うことを恐れ、さらに彼女が連真を忘れられないことを恐れていた。

「なぜそんなに自信があるの?私は5年前とは違うわ。容姿さえも少し変わったのよ」霧島咲姫は淡々と言った。

彼女はもうあの頃の光景を思い出したくなかった。神城連真という三文字を聞くだけで、彼女の手のひらは思わず湿ってしまう。

翔真はいつからか、今のように安心感を持てなくなっていた。彼は本当に霧島咲姫が好きだったが、まったく自信がなかった。

彼があまりにも気にかけているからこそ、こんなにも考えてしまうのだ。そうでなければ、こんな質問はしなかっただろう。しかし、咲姫の答えに彼は何と言えばいいのかわからなくなり、空気はどこか気まずくなった。