第373章 親族認定

桐島忠と奥さんは二人が戻ってくるのを見て、立ち上がって迎えた。

「神城社長、神城奥様、お帰りなさいませ！」桐島忠の声には複雑な感情が込められていた。「今日は、お願いがあってまいりました！」

神城連真は回りくどい話が好きではなかった。「遠慮なく言ってください！」

桐島忠は目に涙を浮かべ始めた。「実は、私たちは神城奥様に義理の娘になっていただきたいのです！」

神城連真はおかしくて仕方がなかった。「桐島忠、随分と大それたことを言うな！」

彼はこのような発言が神城連真の不興を買うことを知っていた。

すぐに彼は付け加えた。「実は娘が本当に神城奥様のことを気に入っていて、今日の午後、泣きながら帰ってきて辛い思いをしたと言いました。実は娘は生まれた時から心臓病と診断されており、この数年は薬で何とか命をつないでいるだけなのです。医者からは18歳まで生きられないと言われていました！そのため数年前から海外で治療を受けていましたが、やっと帰国できたものの、この数年病状は安定していません。私たちは彼女のこの小さな願いを叶えてあげたいのです。私たちもこれが無理な要求だと思っていますが、娘の特別な状況を考慮して、神城奥様に承諾していただければと思います！」

そのとき、桐島忠は奥さんと一緒に跪いた。

霧島咲姫はすぐに前に出て二人を止め、立ち上がらせた。

年長者が彼らに跪くなんて、寿命が縮むではないか。

神城連真はこのような道徳的な強要が非常に嫌いだった。この件については、霧島咲姫の意見を聞きたかった。「奥さん、どう思う？」

霧島咲姫はもともと優しい心の持ち主だった。このような状況で、どうして心を動かされないことがあろうか。「詩雲がそのような状況だとは知りませんでした。義理の娘というのはやめておきましょう。あなたたちにはすでに義理の息子がいるので、息子娘揃っていることになります。私は詩雲の姉になることを約束します。今後何かあれば、できる限り彼女を助けますので、ご安心ください！」

桐島忠と奥さんの顔から一瞬にして憂いが消え、笑顔に変わった。「ありがとうございます、神城奥様！」

二人は大小の贈り物を置いて帰っていった。

神城連真は最近桐島家が神城家に頻繁に訪れることを不審に思わずにはいられなかった。