第382章 手がかり

霧島咲姫はこの時すでに完全に座っていられなくなり、すぐに車を運転して神城グループに急行した。

地下駐車場に着くと、そこで待ち構えていた数人の記者に止められた。

「霧島さん、神城グループの不動産プロジェクトの工事期間中に人命が失われた事件は、神城社長が高利益を得るために意図的に手抜き工事を行ったせいではないのですか?」

「霧島さん、神城グループはこの事件をどのように解決する予定ですか?」

一連の質問が飛び交い、霧島咲姫は頭が痛くなった。

結局、このプロジェクトは最初に自分と桐島耀真が契約を結んだものだから、自分が関わらないわけにもいかない。桐島家は小さな利益しか得ていないが、大きな利益は神城家が取っているので、何か問題が起きれば真っ先に矢面に立つのは必ず神城グループだ。

彼女はサングラスをかけ、淡々と答えた。「まず、皆さんに保証します。これは決して手抜き工事ではありません。憶測を控えていただきたいです。真相が明らかになるまで、静観していただければと思います!」

そう言うと、すぐにエレベーターに乗り、神城連真のオフィスへ向かった。

「プロジェクトの状況はどうなっているの?調査に人を派遣した?」霧島咲姫はオフィスに入るとすぐにドアを閉め、焦りながら尋ねた。

神城連真は相変わらず冷静な表情で、「ああ、調査中だ」と答えた。

霧島咲姫は少し不機嫌になった。神城グループに問題が起きているのに、社長である彼がまったく焦っていないなんて。「なぜそんなに冷静なの?この問題をどう解決するか真剣に考えるべきじゃないの?それに外にいる株主たちの不安をどうやって和らげるの?被害者の家族にはどう対応するの?」

霧島咲姫が言及したことは、神城連真もすでに考えていた。「考えているんだ。この事件は、そう単純ではないと思う」

彼女もこの時、何か違和感があることに気づいた。結局、工事チームのほとんどは桐島家が手配した人たちだし、桐島家は不動産プロジェクトで成功した家だ。長年問題を起こしたことがないのに、なぜ神城グループと協力した時に限って問題が起きたのか。

「誰が犯人だと思う?」霧島咲姫は直接尋ねた。

神城連真は首を振った。「わからない。誰でも可能性はある。内部の人間かもしれないし、桐島家の人間である可能性も否定できない」