夏目初美と大江瑞穂はそれから女子学生たちのテーブルに座った。
彼女たちを招いた北条蓉子は、彼女たちが座る前に笑いながら言った。「初美、瑞穂、今日はふたりともとても綺麗ね。特に初美、さすが私たちの学部の花、同性の私が見ても心惹かれるほど綺麗だわ」
夏目初美は微笑んで、「あなたも綺麗よ、みんな綺麗」と言った。
そして順番に他のクラスメイトに挨拶した。
大江瑞穂も笑顔で挨拶を交わし、北条蓉子が彼女たちの挨拶が終わるのを待たずに温かい飲み物を注いでくれたのを見て、人に気づかれないように初美に小声で耳打ちした。「今日はどうしたの?性格変わった?やっと社会の洗礼を受けたのね?」
夏目初美は知るはずもなく、「かもね」と答えた。
残念ながら北条蓉子はすぐに実際の行動で大江瑞穂に教えてくれた、彼女はやはり相変わらず嫌な奴だということを。
なぜなら夏目初美と大江瑞穂が席に着くと、彼女の二番目の言葉は「本当は唐橋雄一も来る予定だったのよ、婚約者も連れてくるって。でも昨日、婚約者が妊娠していることがわかって、家で婚約者の面倒を見なきゃいけなくなって、フライトをキャンセルしたの。本当に残念ね」だった。
言いながら、残念そうな、同情的な、そして面白がるような...とにかくあらゆる意味を込めた視線で大江瑞穂を見ていた。挑発と悪意はほとんど隠そうともしていなかった。
大江瑞穂は怒りで逆に笑い、わざと声を大きくして言った。「確かに残念ね、蓉子はまるで星や月を待つように彼が来るのを待っていたのに。まさか彼が来ないなんて、次に彼に会えるのは少なくとも一年後でしょ、確かに残念ね。彼には婚約者がいて、パパになるのよ、さらに残念ね、あなたのために残念に思うわ」
本当に病気じゃないの、彼女と唐橋雄一が別れてから何年経ってると思ってるの?
当時は確かに辛かったけど、辛い時期は過ぎ去った、せいぜい再会したときに少し気まずいくらいだ。
それなのに北条蓉子の言い方だと、まるで彼女が今でも苦しんでいるみたいじゃない、この世の男はみんな死に絶えたわけじゃないのに!