第71章 闇を捨て光に向かう

奈々は慌てて手を振った。「違うわ、夏目弁護士。私たちは説得に来たわけじゃないの。ただそう言っただけで、他意はないわ、本当に。あなたはもう自分の法律事務所を開いて、とても良くやっているように見えるし。それに...竹野心はもう事務所で威張り散らして、まるでオーナーの奥さんみたいな態度よ。」

「私が気が狂ったとしても、あなたを説得したりしないわ。あなたは以前私にとても良くしてくれたのに、どうして私があなたを戻らせて苦労させることができるでしょう？それに私も女だから、こういうことは無条件で同性の味方をするわ。どうして犬男...咳、彼らと同じ穴の狢になれるわけ？」

夏目初美はようやく表情を和らげた。「あなたたちがおしゃべりな人じゃないって言ったでしょ。たぶん以前私と親しかったから、この頃は大変なんでしょ？」

奈々は小声で言った。「はい、他の人たちは明石弁護士か立山弁護士の庇護があるか、水野弁護士の直系です。私たち数人だけがどこにも属さず、あなたが去ったとたん、サンドバッグになって、誰でも蹴飛ばせるようになりました。結果として最も多くの仕事をし、最も多くの不満を抱え、それでいて最も少ないお金しかもらえず、しかもそれを最後にもらうことになるんです。」

夏目初美は驚いた。「そんなことないでしょう、みんな契約を結んでいるはずよ。それに法律事務所なんだから、誰が法律を知っていて破るなんてことができるの？」

奈々は苦笑いした。「契約は結んでいますが、ボーナスやその他の業績は契約書に書かれていないんです。法律違反とは言えないでしょう、せいぜいグレーゾーンを攻めているだけです。」

「それに、毎日自分をオーナーの奥さんだと思い込んでいる人が言うには、今は事務所が困難な時期だから、みんなで一緒に困難を乗り越えてほしいと。しばらくして投資が成功したら、みんなの良い日々は後に来るから、小さなことで大きなものを失わないでほしいって。」

大江瑞穂はそれを聞いて嘲笑した。「まだ投資成功だって？犬男女が夢見てるだけよ。本当に成功するなら、今頃まで引き延ばされてないわ。これまで成功しなかったなら、今も将来も成功するわけないでしょ！」