第104章 墓参り 夫は使うためにいるもの

三十分後。

夏目初美はようやく身支度を整え、寝室から出てきた。

工藤希耀は経済ニュースを見ていたが、物音を聞くとすぐに顔を上げて彼女を見た。「初美、準備できた?今どう?体は...まだ辛い?僕が塗った薬、効いてる?」

夏目初美の顔がまた熱くなった。「効いてるわ。そうじゃなかったら今...きっと歩くのも大変だったわ。誰のせいだか分からないけど。厚かましいにも程があるわ、なんでも言えちゃうなんて!」

さっきお風呂に入った時、彼女は首だけでなく、全身に跡がついていることに気づいた。足のふくらはぎにまで、例外なく。

なのに彼は犬年生まれでもないのに、どうしてこんなに噛むのが好きなの?

幸い最後まで獣のようにはならず、彼女が眠りに落ちた後、薬を塗ってくれたから、想像していたほど辛くはなかった。

問題は、彼がどこから薬を手に入れたのか。まさか、夜中にフロントに買いに行かせたんじゃ?

工藤希耀はすでに夏目初美の側に来て、笑いながら彼女を抱きしめた。「僕たちは今や最も親密な恋人であり夫婦だ。お互いの前では当然、正直でいるべきで、何も隠す必要はない。何か食べる?」

夏目初美はとっくにお腹が空いていた。結局、一晩中「重労働」をしたのだから。

うなずいて、「うん、少し食べるわ。あなたは食べた?」

工藤希耀は笑って答えた。「とっくに食べたよ。でも君に付き合ってもう少し食べてもいい。これから墓参りで山登りするし、僕の大事な奥さんを背負わなきゃいけないから、たくさん食べておいても損はないよ」

夏目初美は彼をじっと見た。「背負うのもあなたが自分で選んだことでしょ。山登りするって知ってたのに、それでも...私の足をこんなに弱らせたのは誰?」

少し間を置いて、鼻をしかめた。「本当に不公平よ。どうしてあなたはこんなに元気なのに、私はへとへとなの?特に...」

特に力を使っていたのは彼の方で、彼女はほとんど受け身だったのに。

工藤希耀は満足げに笑った。「僕の体力が良いってことだよ。それに本当に君を愛しているから、疲れを知らないんだ。でも初美、君もそろそろ体を鍛えた方がいいんじゃない?牛は疲れて死ぬことはあっても、畑が耕し過ぎで壊れることはないって言うじゃない。君はどうして逆なの?」