第144章 雪が降り、白髪になった

夏目初美は奈々がスターライトの人から聞いたと言うのを聞いて、それが明石広一から来た情報だと理解した。

彼女は別に隠したり控えめにしたりするつもりはなかった。

ただ自分のプライベートなことを、あまり多くの人に知られる必要はないと思っていた。

しかし今みんなが知ってしまったからには、否定するつもりもなかった。人に見せられないようなことでもないし、知られたなら知られたでいいじゃないか。

そこで彼女は奈々に笑いながら言った。「もう言っちゃったんだから、私が怒ったところで何になるの?大丈夫よ、言っちゃったものは仕方ないわ。もともと私もずっとみんなに隠しておくつもりはなかったし。将来、結婚式の会場で初めて知って驚かれるわけにもいかないでしょ?」

奈々はやっと笑顔になった。「夏目弁護士が怒らないなら安心しました。でも本当に隠すのが上手ですね。工藤さんのようにイケメンでお金持ちで一途な社長旦那さんがいるのに、ずっと黙っていられるなんて。私だったら、とっくに世界中の人に自慢していたでしょうね。特に私を困らせたり、傷つけたりした人たちに知らせたいわ!」

他の人たちも笑った。「そうよ、夏目弁護士は本当に控えめすぎる。これが夏目弁護士が工藤さんの心を射止めて、お金持ちの家に嫁いだ理由で、私たちがただの脇役として見ているだけの理由なのかしら?」

「何言ってるの、そんな理由?根本的には夏目弁護士が美しくて優秀で、一目で主役だとわかるからでしょ。私たちは一目で脇役だってわかるじゃない?」

「私たちの夏目弁護士がお金持ちの家に嫁ぐ必要なんてないわ。彼女は有能で勤勉だから、あと2年もすれば、私たちの法律事務所は彼女のリードの下で大きく強くなって、業界の模範になるわ。そのとき夏目弁護士自身がお金持ちになるんだから、何のためにお金持ちに嫁ぐ必要があるの?彼女と工藤さんは明らかに釣り合いの取れた、天が結んだカップルよ!」

夏目初美は思わず笑った。「みんな私にお世辞を言ってるだけね。さあ、仕事に戻りなさい。年末最後の出勤日だからって、堂々とサボっていいと思わないで。少なくとも社長の前では、忙しいふりをしなさいよ?」

みんなも十分に噂話をしたので、笑いながら散り、自分の仕事に戻っていった。