第174章 子供を産むのは彼女次第

「旦那様、旦那様、素敵な旦那様、愛しい旦那様……大好きな旦那様……」

夏目初美は結局、甘えて可愛く振る舞うことで、工藤希耀にその場で罰を与えられることを免れ、少なくとも「息つぐ」時間を確保することができた。

そして部屋に戻って服を着替え、化粧を落とした。

彼女が身支度を整えて出てくると、食事はすでにテーブルに並べられ、希耀も席に座って彼女を待っていた。

彼女は彼の向かいに座り、まずは大人しくお粥を一口飲み、それから希耀を持ち上げた。「まあ、私の旦那様が作るお粥はなんて美味しいの。彼はどうしてこんなに素晴らしいの?社交の場でも台所でも活躍できて、しかも社長もこなせるなんて、十全十美という言葉では足りないわ」

希耀の目尻や眉の端まで笑みがあふれんばかりになった。

それから彼女は真面目な顔で尋ねた。「さっき陽介と何を話してたの?阿部潤がアフリカに行くことに決めたの?」

希耀は頷いた。「うん、彼にも他の選択肢はなかった。本当に刑務所に入りたいとでも言うなら別だが。ただ、彼は旧正月の終わりに出発したいと言っている。会社の引き継ぎがあるし、叔母さんも病気だから心配だと言って、もう少し時間が欲しいらしい。俺は陽介に伝えさせた、正月二十日に出発できる、それ以上の交渉の余地はないと」

初美は計算した。「今日は五日だから、まだ丸々二週間ある。引き継ぎにも十分だし、個人的な事も全部片付けられるでしょう。あなたが設定した期限はちょうどいいわ。短すぎず長すぎず、美咲の面子と気持ちにも配慮しつつ、彼らが時間稼ぎをしているんじゃないかと心配する必要もない」

希耀は口元を歪めた。「俺は直接美咲に言った。時間稼ぎは通用しない、この件に関して交渉の余地はないと。もし彼女が頑として潤をかばうなら、今後は兄として扱わない。責任は果たすが、もう妹とは思わないと」

「美咲は叔母さんが病気だと聞いて、また心が揺らいだけど、本当に引き返せないと分かって、それ以上は何も言わなかった」

初美は頷いた。「それならよかった。美咲はやはり理を通す人なのね。これからは阿部夫人も彼女の前で好き勝手なことは言えないでしょう。息子に帰ってきてほしければね」