旧正月五日目。
大江瑞穂は予定より早く神戸市に戻ってきた。
夏目初美はようやく家にずっといて「重労働」をする必要がなくなった。
彼女はすぐに服を着替え、メイクをして、車で瑞穂を迎えに行った。
工藤希耀も一緒に行きたがったが、初美は許さなかった。「ある人は歩くのもふらふらで、腰もまっすぐ伸ばせないくらいなのに、この機会に家でゆっくり寝て休んだら?」
希耀は歯ぎしりしながらも笑った。「誰が歩くのがふらふらで、誰の腰がまっすぐ伸ばせないって?大江さんが本当に素晴らしい人だから、君が迎えに行くのが当然だと思わなかったら、ここでお仕置きしてるところだよ。今夜はたっぷり可愛がってやるからな!」
結局、一緒に行くことは諦めた。
初美は時間通りに新幹線駅で荷物をたくさん持った瑞穂を迎えることができた。「なんでこんなに荷物があるの?知ってる人は正月を過ごすために実家に帰ったって言うけど、知らない人は引っ越しだと思うわよ!」
瑞穂は息を切らしながら言った。「私だってこんなに持ってきたくなかったわよ。死ぬかと思った。知ってたら車で帰ったのに。でもお母さんがどうしても持っていけって。まるで神戸市で何も食べるものも飲むものもないみたいな勢いで」
初美は笑った。「なるほど、荷物じゃなくてお母さんの愛情たっぷりってことね。それなら確かに持ってくるべきね。さあ、車に乗りましょう」
二人の親友は一緒に大荷物を抱えて初美の車に乗り込んだ。
瑞穂はようやくため息をついた。「実は今回こんなに荷物を持ってきたのは、本当に引っ越しの理由もあるの。昨日、お父さんが...咳で血を吐いたの。状態はかなり悪いみたい。だから先に戻って連絡すべき人に連絡して、数日後に両親も来るの。今回来たら、もう帰らないつもり。引っ越しと同じようなものでしょ?」
初美は驚いた。「おじさんがもう、そんなに深刻なの?瑞穂、どうして早く言ってくれなかったの?言ってくれたら私も何か方法を考えたのに」
瑞穂は苦笑した。「今さらどんな方法があるっていうの。神戸市の医療はトップレベルだし、必要なお金も準備したわ。両親が来たら、治療に協力しながら、私ができるだけ父と一緒に過ごして、時間を見つけて行きたい場所に連れて行ったり、美味しいものを食べさせたりするだけよ」