第172章 昼食はあなたをいただこうか?

夏目初美が部屋を片付け終わり、鶏のスープを煮込み始めると、工藤希耀が電話を終えて書斎から出てきた。

彼女は尋ねた。「どうだった?」

希耀は彼女がポニーテールにして、可愛らしい漫画のキャラクターが描かれたエプロンを着ているのを見て、何か特別な可愛らしさを感じた。

思わず前に進み、彼女の頭を撫でた。

そして笑いながら言った。「あなたの旦那が出向いたんだから、もちろん一人で二人分の仕事をしたさ。彼女たちはもう騒ぎ立てて迷惑をかけないと約束したよ。兄弟二人が帰ってくるのを家で待つって。これからはあなたに迷惑をかけることもないけど、扶養の責任は果たしてほしいと。僕があなたの代わりに約束したよ。どうせ月に数千円の話だしね」

初美は少し驚いた様子で言った。「どうやって説得したの?母がまだゴネるかと思ってたわ。あの人、大事な旦那さんのことになると、弱気でも混乱することもなく、自分の意見を曲げないのよ。特に相手が私の場合は、柿は柔らかいところから食べるって感じで」

希耀は答えた。「簡単さ。彼女たちに言ったんだ。拘留は通常、記録に残らないけど、僕が残すようにできると。記録が残れば、将来彼らの仕事や年金にも影響するし、子供たちの身辺調査にも影響すると。あなたの叔母さんがまず折れたよ」

初美は理解した。「なるほど。彼女にとって息子は命そのもの、『夏目家の根』だもの。将来本当に身辺調査で問題が出て、大学受験や公務員試験、軍隊入隊などに支障が出たら、後悔しても遅いものね。だから彼女が先に折れたのね。彼女が折れれば、お婆さんも大事な孫をもっと重視するから、一緒に折れるわ」

「そうなると母だけが残るけど、一人じゃ何もできないわね。彼女にとって大事な旦那さんも重要だけど、姑の言うことも同じくらい重要で、逆らえないものね?」

希耀は彼女の皮肉な表情を見て笑った。「彼女たちがどう考えているかはどうでもいい。とにかく、これで終わりだ」

初美はうなずいた。「うん、これで終わりのはず。結局、身辺調査以外にも、彼らのお金に直接関わることだし。私がもう彼らにお金をあげなくなったら、彼らが毎月受け取るわずかなお金がより重要になるわ。それももらえなくなったら、これからどうやって生きていくの?」