翌日は旧正月の元日で、本来なら新年新気分で、楽しく新しい年のスタートを切るべき日だった。
工藤希耀と夏目初美は楽しい気分になれなかった。
なぜなら工藤美咲が熱を出したからだ。
おそらく昨日のショックを受け、風に当たったせいだろう?
幸い北条先生に診てもらったところ、深刻ではないが、数日間の休息が望ましいとのことだった。
希耀はようやく安堵の息をつき、初美に言った。「初美、この数日間の空いた時間を利用して、あちこち連れ出して気分転換させてあげようと思っていたんだけど、今はその計画を延期するしかないね。怒ってない?」
初美は思わず笑った。「そんなことまで責めるなら、あなたを責める理由はいくらでもあるわよ?大丈夫、あと数日滞在すればいいだけよ。ちょうどドラマを追いかけられるし、幸いネットは良くないけどテレビは見られるから」
そうして夫婦は工藤家の実家にさらに二日間滞在した。
旧正月三日目の朝、美咲はすっかり良くなり、自ら希耀に用事があれば自分のことは気にせず行くように言った。「どうせ家には私の面倒を見てくれる人がたくさんいるから、お兄さんは安心して」
同じ屋根の下に住んでいても、その後顔を合わせることがなかったとしても、初美が居心地悪く感じるだけでなく、彼女も居心地が悪いのだろう?
さらに遠山陽介も残ると言った。「僕はどうせ何もすることがないから、家に残って美咲の面倒を見るのはいいよ」
希耀はこれ以上主張せず、初美が荷物をまとめると、彼女を連れて天海湾の自宅に戻った。
まだ道中にいる間から、初美の携帯電話は鳴り止まなかった。
すべて以前の着信転送からの通知音で、さらにLINEやSMSの通知音も次々と鳴り響いた。
彼女は思わず息を吸い込んだ。「たった三日間で良かった。もっと長かったら、今日一日中メッセージを確認して返信するだけで終わってしまうところだったわ」
希耀はハンドルを握りながら笑った。「重要なものだけ返信して、重要じゃないのは無視すればいいよ。ほとんどは新年の挨拶だろうし」