工藤美咲は涙があふれ出した。「お兄ちゃん、そんな言い方しないで。本当に間違いに気づいたの。もう二度としないわ。謝罪と償いの機会をください、お願い」
工藤希耀は冷たい表情を崩さなかった。「人を殺しておいて、謝罪と償いなんて言っても意味があるのか?傷はすでについているんだ!利用されたなんて言い訳するな。お前に人を傷つける心がなければ、誰もお前を利用できなかったはずだ。それとも写真を撮るだけなら問題ないとでも思っていたのか?」
美咲は唇を噛み、涙がさらに激しく流れた。「じゃあお兄ちゃんは私にどうしろというの?同じことを私も経験しろとか、死ねとでも言うの?」
希耀は冷たく言った。「己の欲せざるところは人に施すなかれ。自分の愛する人に起こってほしくないことは、当然妹や他のどんな女性にも起こってほしくない。初美が目覚めたら、彼女もこんなことはしない。どんな時でも、彼女には自分の底線があるからだ」
美咲はすすり泣いた。「わかったわ。お兄ちゃんが言いたいのは、私には底線がないってことね。じゃあ私を刑務所に送って、法の裁きを受けさせて。どうせもう私のことを憎んでるんでしょ。私を送り込めば、目の前からいなくなるから心も…」
太田一鳴は急いで彼女の言葉を遮った。「美咲、そんな言い方はダメだ!」
そう言って希耀に向き直り、仲裁に入った。「耀兄さん、お嫂さんはどうですか?美咲を連れて、お嫂さんに会わせてみては?彼女にどれだけの傷を与えたのか知らせるべきです。直接お嫂さんに謝罪させるべきです。それはお嫂さんの権利でもあります」
遠山陽介も続けた。「そうだよ、耀兄さん。美咲を連れて中に入ってみたら?彼女は本当に自分の過ちに気づいたみたいだし、過ちを認めて改めるのは良いことだ」
希耀はようやく険しい顔で立ち上がり、寝室へ向かった。
一鳴はそれを見て、急いで美咲を押した。美咲はすすり泣きながら、後に続いた。
夏目初美は熱が引き、安らかに眠っていた。
しかし顔色は紙のように青白く、唇も乾いてひび割れ、歯形もはっきりと残っていた。露出している手にも大小の傷や青紫の痕があった。
一目見ただけで、この一晩彼女が大きな傷を負い、どうやって耐え抜いたのか想像もつかなかった。
美咲は一目見ただけで、さらに自責の念と後悔に襲われた。