第236章 浮気現場

大江瑞穂は夏目初美と話した後も、まだ迷っていた。

結局のところ、人それぞれ状況が違うし、佐藤沢暁も確かに今まで彼女に迷いなく進む勇気を与えてはくれなかった。

一方、工藤美咲の方も順調には進んでいなかった。

彼女はついに勇気を出して、太田一鳴に自分の気持ちを打ち明けた。

しかし返ってきたのは一鳴の丁重な断りだった。「美咲、君は僕まで失うのが怖くて、自分を騙しているんだと思う。そんなことしなくていいんだよ。前にも言ったけど、君が僕と一緒にならなくても、僕にとって一生大切な妹だよ。」

「僕も好きになったからといって、必ずその人を手に入れなければならないとは思わない。君が幸せなら、僕も嬉しいし、祝福もする。同じように、君は耀兄さんを失ったわけじゃない。彼は今でも前と同じように君を愛している。兄が妹を愛するように。」

「それに今は義姉さんの愛も加わったじゃないか。君たちが今どれだけ仲良くしているか見てごらん?だから、本当に自分を騙したり我慢したりする必要はないんだ。君は一生僕を失うことはない。僕はいつまでも君の一鳴兄さんだから!」

美咲はこれにひどく腹を立てた。

後で初美に話したとき、彼女は泣きそうになっていた。「彼の頭の中は一体何が詰まってるの?私が自分を騙してるとか我慢してるとか言うけど、私が自分を騙してるかどうかなんて、私自身が一番わかるはずなのに、なぜか彼の方がよく知ってるみたい。私が心臓を取り出して、彼に直接見せないと、私が今本当に彼を愛していることを信じてくれないの?」

「彼がこんなに頑固だとは知らなかった。牛の角に頭を突っ込むようなやり方で、誰よりも強情なんだから、本当にイライラする!」

初美も眉をひそめた。「やっぱり彼は、あなたが次善の策を取っていると思っているのね。彼を失うのが怖くて自分を騙しているから、ずっとあなたに冷たくしていたんだわ。でも彼を責めることもできないわ。だって以前あなたは...咳、何年もの感情があったし、小さい頃からの夢はお兄さんと結婚することで、それを隠そうともしなかったわね。」

「一鳴だけじゃなく、多くの人の心に根深い印象が残っているはずよ。それを短時間で変えるのは難しいでしょう?」