翌日目が覚めると、夏目初美は工藤希耀の機嫌がとても良いことに気づいた。
明日は工藤美咲の婚約式という大きな喜びの日だから、兄として喜び事があれば気分も良くなるのは当然のことだろう。
仕事上の難題についても、方法は困難よりも多いものだし、それに彼はいつも何でもできる人だから、きっとほとんど解決策を見つけているのだろう。
そう思って初美も笑顔になり、小さな歌を口ずさみながらバスルームに入って身支度を始めた。
彼女がバスルームに入るやいなや、希耀の表情が曇り、目に暗い影が宿ったことなど、初美は知る由もなかった。
法律事務所で午後まで忙しく働いた後、初美は大江瑞穂を車に乗せ、工藤家の本邸へと向かった。
美咲は最後のドレスフィッティングとメイクの確認をしていた。明日は太田一鳴とすべての来賓の前で最高の、最も美しい姿で現れるために全力を尽くしていた。
初美と瑞穂が来たのを見ると、急いで手を振った。「お義姉さん、瑞穂姉さん、やっと来てくれた。早く私のドレスがどこか合わないところがないか見てくれない?なんだか想像していた効果と少し違う気がして、見れば見るほど何かが足りない気がするんだけど、具体的に何が足りないのか言えなくて...早く探してくれない?」
初美と瑞穂は彼女を前後から一周見回した。
そして笑いながら言った。「もう十分美しいわよ。どこも合わないところなんてないわ。美咲、あなたはあまりにも細かいところにこだわりすぎよ」
「そうよ、こんなに美しくなっているのに、まだ完璧を求めるなんて、私たちに生きる余地はあるの?」
美咲は顔をしかめた。「でも本当に何かが足りない気がするの...最初のデザイナーをアメリカのなんとかという業界の研修会に行かせなければよかった。新しく派遣されてきたデザイナーとは、どうしてもうまく意思疎通ができないの。彼女はいつも私のポイントを理解してくれないわ」
初美はもう一度彼女をじっくり見て、笑いながら言った。「でも私が見る限り、本当に何の問題もないわよ。細い腰に長い脚、胸も完璧、鎖骨も完璧。私は女だけど、もし男だったら、すぐにあなたを奪って家に連れて帰るわ。一鳴なんて関係ないわ!」
瑞穂も笑った。「私も本当にどこもかしこも完璧だと思うわ。特に胸、うわぁ、少なくともEカップはあるでしょ?」