夏目初美と大江瑞穂は、一人が辛抱強く慰め、もう一人が冗談を交えながら話した。
ようやく工藤美咲はリラックスして、顔には花嫁になる娘の恥じらいと喜びが浮かんだ。
ちょうど大丸叔母さんが焼いた小さなケーキを持ってきたので、初美はさらに紅茶を入れさせ、果物を切り分け、三人で囲んでアフタヌーンティーを楽しんだ。
半分ほど食べたところで、工藤希耀と遠山陽介が戻ってきた。「君たちはのんびりしているね。てっきり大忙しだと思っていたよ」
初美はまず笑って言った。「準備すべきことはとっくに済ませてあるわ。何を忙しがることがあるの?」
そして陽介を見て、「お兄さん、やっと帰ってきたのね。先週も先々週も帰ってこなかったけど、何を忙しくしていたの?」
陽介は笑いながら答えた。「プロジェクトの工期が迫っていて、それに断れない接待もいくつかあったから、帰れなかったんだ。幸い一時的に忙しさが落ち着いたから、そうでなければ今日も帰れなかったかもしれない」
美咲は急いで言った。「陽介兄さん、よく帰ってきてくれたわ。そうじゃなかったら、私すぐに岡山市に飛んで行ってあなたを引っ張り出すところだったわよ。私の人生で一度きりの大事なことなのよ?お義姉さんだけがあなたの妹じゃなくて、私もそうでしょ?」
陽介は慌てて笑った。「だから帰ってきたじゃないか。美咲が言うように、君の人生で一度きりの大事な出来事だ。空から刃物が降ってきても、必ず駆けつけるさ」
美咲はようやく笑顔を見せた。「それならまあいいわ」
さらに希耀に向かって言った。「お兄さんは毎日会社のことばかり考えて、もう弓の弦に矢がつがえられているというのに、私たちがまだ急いで準備していると思っているなんて。どれだけ私のことを気にかけていないかがわかるわ。幸い義姉さんが手伝ってくれて、慰めてくれたから、そうじゃなければあなたなんか相手にしなかったわよ」
希耀は鼻をこすりながら、「わかったわかった、全部兄さんが悪い。仕事が忙しくて君のことをおろそかにしていた。でも、君の義姉さんと僕は夫婦一体だから、彼女がやったことは僕がやったことと同じだよ。結局同じことじゃないか?」