第293章 鮮明な対比

夏目初美は警察に通報し、藤姉さんのクズ夫は弱い者には強く出るが強い者には弱気になるような臆病者だった。そうでなければ、世間に認められた「おとなしい人」にはなっていなかっただろう。

さらに、夏目初美の夫は富豪で、神戸市では足を踏み鳴らせば地面が三度震えるような人物だという噂も側面から聞いていた。

クズ夫はすぐに弱気になり、彼の子供たちも同様に弱気になって、親子の情に訴え始めた。

しかし、藤姉さんは長年苦しんできて、今回ようやく勝利の光明を見たのだから、どうして自分を暗黒の深淵に戻すことができようか?

訴えを取り下げることを頑なに拒否し、たとえ何も持たなくても、自由を取り戻すことを選んだ。

ついに何度かの揉め事の後、7月中旬に無事離婚が成立した。

さらに夏目初美の助けにより、彼女の取り分の財産だけでなく、遅れていた謝罪と賠償もようやく手に入れることができた。

藤姉さんは思わず喜びのあまり涙を流し、その場で泣き崩れた。

それを見た彼女の子供たちもようやく恥じ入り、彼女の許しを得て、これからも親子として仲良くしたいと願った。

藤姉さんは怒りをぶつけた。「あなたたちは一度も私という母親を気遣ったことがなく、一度も私を人間として扱ったこともない。だからこそ、私がこの何年もの間どれほど苦しく辛かったかを知りながらも、見て見ぬふりをし、さらには次第に加担するようになったのよ」

「なぜなら、もし私が前に立ちはだかっていなければ、あなたたちが彼の侮辱や暴力に耐え、私が味わったすべての苦しみを味わうことになるからよ。あなたたちが苦しまなければ、私が苦しむことなど何でもないと思ったの?あなたたちにもそれぞれのプレッシャーがあり、簡単ではないことも理解できるわ」

「でもあなたたちはすでに経済的に自立していて、彼に警告して抑制し、もうそんなにひどいことをできないようにすることもできたはず。ただ、そのためには時間とお金を犠牲にする必要があったかもしれないけど、それすらもあなたたちはしようとしなかった。彼と同じように、私が一生離婚できず、死ぬまで耐えるしかないと思い込んでいたのね」