夏目初美は怒りを募らせながら言った。「あなたの見識や経験、あなたの当時の魅力をもってすれば、わざわざ誘惑しなくても、ただ断り方が曖昧なだけで十分だったはずです。ましてや、当時は風紀が厳しく、そんな辺鄙で閉鎖的な場所で、私の姑が積極的だったとしても、自ら進んだとしても、女の子の恥じらいや矜持から、彼女が先に一線を越えようとするはずがありません」
「きっとあなたが何か言ったか、何かしたから、彼女はあなたとの関係が確かなものだと思い込んで、それで彼女は…今になって『私は彼女を強制していない、彼女は自ら望んだのだ』という一言で、自分の責任を逃れようとするなんて」
「もっと酷い言い方をすれば、あなたは大の男です。もし望まなければ、彼女のような弱い女性が、あなたを強制できるはずがありません。だから、言い逃れはやめてください。あなたは彼女の人生を台無しにした張本人で、母子の全ての苦難の根源であり、間接的な殺人者なのです!」
老人の顔色はますます険しくなり、初美から見れば、何度も爆発寸前のように見えた。
何十年も上に立つ立場にいて、耳に痛い忠言さえ聞くことが少なくなっていたのに、まして今は鼻先を指されて罵倒されるような状況だった。
しかし彼は最終的に自制して爆発しなかった。
ただ重々しく言った。「確かに彼女は私を強制できなかった。私が自暴自棄になって、自分を放任したのだ。当時は自分の結婚生活も終わったと思い込んでいたから、確かに意図的にせよ無意識にせよ、彼女を誤解させた…これはすべて過去のことだ。今さら何を言っても意味はない」
初美は冷笑した。「あなたにとっては意味がないでしょうね。むしろあなたの人生からその時期が完全に消えてしまえばいいと思っているでしょう。でも、私の姑と夫がこれまで経験してきた苦しみは、あなたの適当な言葉で消し去れるものではありません」
「あなたは若くて生き生きとした女の子の一生を台無しにした。あなたが高い地位と報酬を得て、幸せな生活を送っている間、彼女は自分と子供が生きていくために、あらゆる苦労を味わい、全力を尽くしてきたのです。夜中に目が覚めたとき、恥ずかしくないのですか?顔向けできないと思わないのですか?」
老人は机の上で拳を再び握りしめた。