第343章 遅すぎた懺悔は草より賤しい

夏目初美は朝、法律事務所に着くとすぐに自分のメールボックスを開いた。

藤原秘書からの返信はまだなかった。おそらく老人がまだメールを確認していないか、確認したものの藤原秘書に指示を出していないのだろう。

あるいは、義母の日記が彼に与えるダメージは初美が思っていたほど大きくなく、それを武器に彼を打ちのめそうとするのは単なる思い上がりだったのかもしれない。

しかし前回、彼が自分に一太刀浴びせたということは、彼にも恥じる気持ちや罪悪感があるということだろう……

初美はもう少し待ってみたが、メールボックスには何の反応もなかった。

そこで自分の仕事に取り掛かることにした。何かをしていれば時間も早く過ぎるし、ただじっと時間が経つのを待つよりはましだ。

ちょうど仕事を始めようとしたとき、藤原秘書がやってきた。「工藤夫人、今お時間ありますか?あの、首長が来られて、お会いしたいとのことですが……誤解なさらないでください。首長が直接こちらに来るのは不便で、不必要なトラブルを避けるため、ホテルまでお越しいただくしかないのです。どうかご了承ください」

初美は少し驚いた。

老人が神戸市に来たのか?

まだ午前9時過ぎだというのに、彼はすでにホテルにいる。彼は本当に日々多忙な身なのだから、すべての業務を放り出して夜のうちに飛んできたということだろう。

やはり義母の日記の破壊力は十分だったようだ。元凶の良心も完全に失われてはいなかったということか。

それはよかった!

初美は淡々と微笑んだ。「他の人なら時間がないかもしれませんが、あなたの首長にお会いするなら、時間がなくても作りますよ。行きましょう!」

そう言いながら、すでに携帯を取り出し、大江瑞穂にメッセージを送った。少し外出すること、何かあれば電話するようにと。

そしてバッグを手に取り、率先してオフィスを出た。

藤原秘書はそれを見て、急いで彼女の後を追った。

二人は30分もしないうちにホテルに到着し、最上階のスイートルームで老人と対面した。

再会した初美は前回よりもさらに礼儀を欠いていた。礼儀正しくする必要など全くなく、基本的な礼儀すら必要なかったからだ。