そのため西園寺老夫人は後半、我慢に我慢を重ね、どうしても我慢できなくなってから、こっそりとドアに近づき、盗み聞きを始めたのだった。
当然、前半の夏目初美が語った工藤希耀の母親が当時やむを得ず、自分の血と肉体を売ったという話は聞いていなかった。
衝撃の他に、なるほどという思いもあった。
なるほど、国柱が突然すべての公務を放り出して、夜を徹して駆けつけたわけだ。
以前、佳成が亡くなった時でさえ、彼はたった一日の休暇を取っただけで、また仕事に戻ったのに。
彼女はまだ考えていた、息子はもうあんな年齢なのに、どうしてまだこんなに口と心が一致しないのだろうか、明らかに希耀に戻ってきてほしくてたまらないのに、自分という母親にあんなに厳しく当たるなんて。
なるほど、彼は本当に希耀を迎えに来たのではなく、こんな理由もあったのか……
西園寺老夫人はついに初めて心の底から申し訳なさと罪悪感を感じた。「すみません、私は、私は知りませんでした、本当に知らなかったんです……彼女はたとえ父親がいなくなっても、まだ母親が助けてくれるし、他の親戚もいると思っていました。彼女には家も田畑も小さな売店もあるから、大金持ちにはなれなくても、食べていくのには問題ないと思っていたんです。」
「せいぜい人から噂されたり、精神的な苦痛を受けたりする程度だと。」
「本当に知りませんでした、彼女が食べていくことさえ保証できず、仕方なく……さっきはあんなことを言うべきではありませんでした、私、撤回します、私が何も言わなかったことにしていただけませんか?」
初美は嘲笑した。「口から出た言葉は水をこぼすようなもの、西園寺老夫人はどう思いますか?あなたの息子も、あなたの家も、当時は確かに私の姑と夫がいっそ存在しなければいいと思っていたのでしょう。殺人が犯罪でなければ、あなたの息子とあなたの家に取り返しのつかない影響を与えることを恐れなければ、彼らを殺して口封じしていたのではないですか?」
「なんと私の姑の母親が翌年亡くなったことさえ知らなかったとは。西園寺老夫人は高慢ぶっていますが、あんな貧しい農村では、誰かがそれほど深刻でもない病気にかかっただけで、一家の全財産を使い果たしてしまうことは想像できるはずでしょう?」