第356章 三十年前に別れるべきだった

老人は西園寺夫人が話すにつれて悲憤を増していくのを見て、心中ますます居心地が悪くなった。

彼女が話し終えると、彼は小声で言った。「当時、本当に君に申し訳ないことをしたと分かっている。母のあの古い考え方は、私でさえ時々耐えられなかったのに、まして君はなおさらだ。最初から厳しく自分の立場を示して、母に私の底線を理解させるべきだった。何を言っていいか、何をしていいか、何をしてはいけないか。」

「結局、母と一番多く接していたのは君だった。私はよく家にいなかったから、仲裁するどころか、時々話を聞いて慰めることさえできなかった。だから君のせいじゃない、私のせいだ。君にあんなに長い間辛い思いをさせたのは私だ。」

「そして今回も...佳成を救えなかった。佳成が病気になってから、君はずっと極度の緊張と恐怖の中にいた。何度も崩壊の瀬戸際にいたことを知っている。残念ながら佳成は去ってしまい、君の心も抉り取られた。今でもそこには大きな穴が空いていて、血が流れ続けている。」

「なのに母は少し待つことさえできず、急いで君の傷口に塩を塗りこんだ。誰が耐えられるだろうか？本当によく理解できるし、だからこそ申し訳なく思っている。母に代わって謝るよ。これからは、ちゃんと償っていくつもりだ...」

残念ながら、彼の言葉は西園寺夫人の冷笑によって遮られた。「誰があなたの償いなんか欲しいの？佳成がいなくなった瞬間から、私はもう生きたくなくなったのよ。自分の命さえどうでもいいのに、他の何かを欲しいと思うと？」

「どうやって償うつもり？家の財産を全部私や私の子や孫たちにくれるの？それはもともと少なくとも半分は私のものよ。あなたの子や孫たちにはもともとあなたの財産を相続する権利があるのよ！」

「もちろん、あなたのお母さんの目には、それらは全て西園寺家のもので、私とは少しも関係ない。佳未や佳子、そして佳成の二人の娘たち、この既に外に出てしまった、あるいはいずれ出ていく水とは、なおさら関係ない。西園寺家の財産、そして全てのものは、彼女の孫が相続しなければならない。以前は佳成だったけど、佳成がいなくなったら、今度は彼女が外で見つけた新しい孫ね。」