第43章 悪いパパ

「坊ちゃま、夕食の時間ですよ」

夕食の時間になり、使用人が扉の外から君胤に声をかけた。

一方、夏挽沅は足の具合が悪いため、王おじさんは人を遣わして食事を寝室まで運ばせた。

かつては清掃スタッフでさえ君時陵の寝室で物を動かすことを恐れていたのに、今では食事まで主寝室に運び込めるようになったことに、王おじさんは夏挽沅を見る目がますます慈愛に満ちていった。

ベッドサイドのテーブルに並べられた食事を見て、小寶ちゃんは不満そうに言った。「僕も寝室でご飯食べたい、ママと一緒に」

「坊ちゃま、旦那様が下でお待ちですよ」使用人は君胤に強く言うことができず、慎重に諭した。

「いやだ！ここで食べる」小寶ちゃんは夏挽沅にべったりとくっついていたかった。

「坊ちゃま...」使用人は困り果てた。

「ふん」小寶ちゃんは顔を布団に埋め、ここに居座るつもりだった。

ところが突然、ドアから足音が聞こえ、小寶ちゃんが反応する間もなく、大きな手が彼の襟首をつかんでいた。

「またわがままを言っているのか」磁性のある声が響き、小寶ちゃんは反射的に首をすくめた。やばい！

小寶ちゃんは足をバタつかせながら君時陵にベッドから持ち上げられた。彼は時陵の腕をつかみ、空中で足をバタバタさせ続けた。

しかし彼の力は時陵と比べるとあまりにも小さく、ただ不満げに時陵に部屋から連れ出されるしかなかった。

食卓に座っても、小寶ちゃんはまだ拗ねて赤ちゃん肌の頬を膨らませ、一方的に時陵との冷戦を始めた。

「ちゃんと食べないと、今夜は一人で寝かせるぞ」

時陵は小寶ちゃんの膨れた顔を一瞥し、冷たく言った。

「一人で寝ればいいもん、ふん、意地悪パパ」

小寶ちゃんは怒って時陵を見つめ、意地を張って食事を拒もうとした。

しかし午後は幼稚園でゲームに参加し、園内を走り回っていたため、お腹はとっくに空いていた。そのタイミングでお腹がぐぅっと鳴った。

時陵の唇の端がわずかに動き、君胤の大好きな照り焼きチキンウイングを彼の前に寄せた。

ソースがたっぷりかかった手羽先を見て、小寶ちゃんは思わず唾を飲み込み、時陵に促されるまでもなく箸を取り、香ばしい料理に顔を埋めた。

夜になり、夏挽沅は足を怪我しているため、時陵は君胤が彼女と一緒に寝ることを許さなかった。