夏挽沅は自分がこれほど言葉を選ばずに話したことはないと感じていた。
君時陵は夏挽沅の「あなたに関係ない」という言葉に心が沈んだ。
どうやら前回までの親密な行為が、ついに夏挽沅の反感を買ってしまったようだ。そのため、挽沅は今や彼をこれほどまでに拒絶するようになってしまった。
「じゃあ食事はいいから、お茶でも飲みませんか」君時陵は心の沈みを押し殺し、無理やり笑みを浮かべて夏挽沅にお茶を注いだ。
「そういう意味じゃないんです」夏挽沅は自分でもわからなかった。なぜさっき急に態度が悪くなったのか。普段は自分の感情をコントロールするのが得意なはずなのに。
「わかってるよ、お茶を飲んで」時陵は微笑んで茶碗を挽沅の前に差し出し、自分は茶碗を手に取り、静かにテーブルの上の食事を食べ始めた。
鋭い雰囲気を纏った時陵が、今はどこか委屈そうな様子を見せていた。
挽沅が作った料理は二人分だったが、彼女はほとんど箸をつけず、時陵はゆっくりと挽沅の作った料理を全て平らげた。
「お腹いっぱいにならないの?」挽沅は傍らで見ていて少し驚いた。
「食べ残したら無駄になるから」時陵は普段から食事を控えめにしており、今回二人分の食事を胃に収めても大丈夫だった。
それに、これは挽沅が作ったものだ。今後彼女の作った料理を食べられるかどうかもわからない。時陵は心の中でため息をつき、当然一口も無駄にしたくなかった。
食事を終えると、挽沅は庄園に戻りたいと思った。
時陵は携帯で林靖に午後の会議をすべてキャンセルするよう伝え、それから挽沅を見た。「ちょうど午後は何もないから、一緒に帰ろう」
「いいわ」
車が街を走っていると、突然ケーキ店の前を通りかかった。挽沅が甘いものが好きなことを思い出し、時陵は運転手に車を止めさせて一つ買ってきてもらった。
昼食をほとんど食べなかった挽沅は、ケーキの香りを嗅ぐと食欲が湧いてきた。
一口食べると、青くて渋い味がした。梅のような?
挽沅が箱のパッケージを見ると、やはり青梅味だった。
「青梅」という文字を見て、挽沅は鄭菲の口から出た「幼なじみ」「時陵お兄さん」という言葉を思い出し、途端に食欲がなくなり、残りのケーキをテーブルに置いた。
「体調が悪いのか?」時陵は心配そうに挽沅に尋ねた。