第360章 姫が撮影現場に入る 穆風が腕を振るう

最近、夏挽沅は家で暇を持て余し、台本のセリフを何度も読み返しただけでなく、原作の『月のような霜』も探し出して読み通した。

彼女は楊九が書いた小説が本当に素晴らしいと感じ、読んでいるうちに絵を描きたくなった。

この一枚の絵は、彼女自身が理解した秦曼月というキャラクターだった。

艶やかなチャイナドレスを身にまとった女性は、傲慢な表情を浮かべながらも、目には迷いと陶酔の色が混じっている。背後には空全体に広がる戦火、周囲の人々は走り回ったり逃げ出したりしているが、まるでこの人物とは何の関係もないかのようだ。

ほとんどの人は『月のような霜』の撮影状況に注目していなかったため、みんながこの絵の美しさを絶賛する一方で、これが誰を描いたものなのか気になる人もいた。

【前回はまだ偶然だと自分を慰めることができたけど、今回はもう慰められない。大師は本当に夏挽沅のファンなんじゃないかな?】

【これは夏挽沅の新ドラマ『月のような霜』の女主人公のキャラクターだよ】

【正直に言って、大師は何を描いてもこんなに素敵だけど、もちろん夏挽沅自身も美人だしね】

【夏挽沅って一体どんな魅力があるの?盛世グループの皇太子も彼女のファンだって聞いたけど、すごいよね】

原晚夏の絵は美しく、夏挽沅を知らない人でさえ、この絵によって『月のような霜』というドラマを知ることになった。

そして、『月のような霜』の撮影チームはまだ撮影を始めたばかりで、宣伝チームさえまだ決まっていないのに、原晚夏のこの一枚の絵のおかげで、すでに知名度を上げることができた。

海外の「wanxia_yuan」アカウントも同様にこの絵を更新し、海外のネットユーザーの間で『月のような霜』というドラマへの好奇心と期待を引き起こした。

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ネット上では夏挽沅のプロ意識の欠如や、予定通りに撮影に参加せず特別扱いを求めるという話題が続いていたが、インターネット上の人々の記憶は比較的短く、すぐに新しい出来事に怒りを向けるようになった。

この時、タイムリトリーブスタジオはようやく説明の声明を発表した。