エレベーターが地下駐車場に到着すると、古川真雪が先に足を踏み入れ、そして口をとがらせた。「あなたはエンターテイメント会社の若いモデルたちを囲った方がいいわ。彼女たちの方があなたのような年齢の男性の好みに合うでしょうから」
久保清森は彼女の後ろに続いてエレベーターに入り、からかい続けた。「僕は君のタイプが好きなんだよ」
「趣味が変わってるのね」
「だから、こんなに誠心誠意尽くしているのに、まだ僕のことを考えてくれないの?」
真雪は無表情で彼を横目で見て、躊躇なく首を振った。「考えないわ」
「僕は本当に実用的だよ……見た目もいいし、一緒に外出しても恥ずかしくない。料理もできるから、三食全部作ってあげる。お金も稼げるし、すべてのクレジットカードを好きに使わせてあげる。プレゼントも買うよ、君が望むなら365日違うものをプレゼントすることだってできる。そして何より、ベッドを温めることもできる。こんな寒い天気に僕がベッドを温めてあげるのは悪くないでしょう?」
彼の息つく間もない自己推薦を聞いて、真雪は笑うべきか泣くべきか分からなくなった。彼女の明るい桃の花のような目に、柔らかな笑みがゆっくりと広がった。
「聞こえは良いけど、あなたが良すぎて私には釣り合わないわ」
「君が僕の上に乗れば釣り合うよ」
彼はわざと「上」という言葉の発音を強調し、その口調には微妙な色気が含まれていた。
真雪は一瞬固まった後、やっと彼の言葉の裏の意味を理解した。
普段は厚い顔の皮を持っている彼女でも、突然このようにからかわれると、頬が赤くなるのを抑えられなかった。
「厚かましい」彼女は赤い唇を軽く開き、躊躇なくこの二文字で彼を批判した。
清森の顔には不真面目な笑みが浮かび、全身からはかすかな不良の雰囲気が漂っていたが、それは少しも反感を買うことなく、むしろ彼の不良っぽさが異常に魅力的に感じられた。
エレベーターが15階に到着すると、ドアがゆっくりと開いた。真雪がエレベーターから出ようとしたとき、後ろの清森が彼女に尋ねるのが聞こえた。「今日は僕を部屋に招いてお茶でも飲ませてくれる気はない?」
「ないわ」
「忍びないだろう?」
「あなたを何週間も見てきたから、もう飽きたわ。だから早く帰ってくれる?」