古川真雪は覚えていた。久保清森と知り合って間もなく、彼は高校を卒業して大学に進学したことを。
当時、久保父の久保知昊は彼に留学を提案したが、家には彼一人しか子供がおらず、久保お婆さんは彼を一人で海外に行かせることを心配したため、結局清森は国内に残ることになった。
最終的に、彼が入学したのは賀成市にある名門私立大学だった。
真雪は清森の高校時代のように頻繁に彼に会うことができなくなり、その頃は特に手紙を書くことが流行っていたため、彼女はほぼ毎週少なくとも一通の手紙を清森の大学に送っていた。
彼女は数え切れないほどの手紙を送ったが、一度も清森からの返事を受け取ったことはなく、ずっと清森は自分のことを好きではないから、自分の書いた手紙をすべて捨ててしまったのだろうと思っていた。
しかし思いがけないことに...彼はそれらをすべて保管していたのだろうか?
真雪は手を伸ばして一通の手紙を取り出し、開いた...
【親愛なる清森へ、
今日は外は雨が降っています。放課後、家に帰る時にあなたのことをずっと考えていたので、思わずペンを取ってまた手紙を書いています。
白川おばさんから聞いたところによると、あなたは今週末に帰省して家族に会うそうですね。あなたに会うために、私はもう口実を見つけてあなたの家に遊びに行く約束をしました。週末が早く来ることを今か今かと待ち望んでいます。
もう三週間もあなたに会っていません。あなたが恋しいです。あなたは私のことを思い出してくれていますか?この三週間、学校ではどうですか?勉強は大変ですか?ちゃんと食べていますか?
そうそう、一昨日の月例テストの結果が出ました。私の成績は想像以上に良かったです。父は私の点数にとても満足して、新しいバイオリンをご褒美にくれました。
私はずっと一生懸命バイオリンの練習をしています。いつかあなたと一緒に一曲演奏できる日を楽しみにしています。
...】
彼女の脳裏には、何年も前に自分が机に向かって、心を込めて清森に手紙を書いていた光景さえ浮かんできた。
手紙は全部で一ページ半の長さがあり、真雪が二ページ目を読み終えると、彼女が書いた内容の直後に清森の返事があることに気づいた...