第371章:どうして私より怖がっているように見えるの?

言うまでもなく、古川真雪は自分が先ほど供述を録音している時に、綾部久辰がやはり我慢できずに久保清森に電話して告げ口したのだろうと推測した。

久保清森は上から下まで真剣に真雪を観察し、彼女が怪我をしていないことを確認してから、ようやく安堵の息をついた。そして真雪を腕の中に引き寄せた。

彼は片方の腕で真雪をしっかりと抱きしめ、もう片方の手で彼女の背中を優しく叩いていた。まるで彼女の不安や恐怖を和らげようとするかのように。

しかし、真雪はそもそも怯えてなどいなかった。

彼女は清森の胸の中で可笑しそうに身を寄せ、からかうように言った。「なんだか私より、あなたの方が怖がってるみたいね?」

清森はまだ動揺を隠せない様子で小声で答えた。「会議が終わったところで久辰から電話があって、君と君のボディーガードが集団暴行を受けて、今警察署にいるって。」

先ほど彼は真雪が殴られたと勘違いし、彼女に何かあるのではないかと心配で、急いで警察署に向かった。

幸い彼女は何の問題もなく、これで清森の宙に浮いていた心もようやく地に足がついた。

「私は大丈夫だから、そんなに緊張しないで。」

真雪は彼の真似をして、手を伸ばして彼の背中を優しく叩き、彼の気持ちを落ち着かせようとした。

しばらくして、清森はようやくゆっくりと真雪を腕から解放し、優しい声で言った。「行こう、家に帰ろう。」

「うん。」

真雪は彼に手を引かれるままに車に乗り込んだ。

唐田浩良は運転席に座り、清森が車に乗り込むのを見て、敬意を込めて言った。「社長、トラブルを起こした数人の尿検査結果は全て陽性でした。署長には既に話を通してありますので、彼らには相応の対応をしてもらえます。」

清森は満足げに頷き、それから指示を出した。「まずは帰ろう。」

「かしこまりました、社長。」

道中ずっと、清森は真雪の手をしっかりと握っていた。

真雪は彼のまるで安心感を求めているかのような行動を可笑しく思いながらも、彼の手を握り返して離さなかった。

白川思花とその友人たちの家族は連絡を受けると、弁護士を連れて警察署に向かい、自分の子供を警察署から連れ戻そうとした。

しかし、警察は今回は異常なほど強硬な姿勢を見せ、少しも譲歩する様子はなく、彼らが賄賂を贈っても誰一人として釈放しようとはしなかった。