少し間を置いて、彼女は尋ねた。「監視カメラの映像は調査したの?」
溝口律毅は頷き、少し困った表情で答えた。「すべての映像が事件発生前で止まっています。」
「見せて。」
準備していた律毅は手元のタブレットを取り出し、昨夜の監視カメラ映像を表示した。夜の1時から2時の間の映像はずっと12時59分の場面で止まったままで、2時以降になってようやく新しい映像が映っていた。
「警報は鳴らなかったの?」
以前、彼女はセキュリティシステム会社の担当者に、最高レベルのセキュリティの警報器を設置させていた。もし誰かがレストランに侵入すれば、警報器が即座に作動し、自動的に警察に通報し、古川真雪に連絡が行くはずだった。
律毅は首を振った。「鳴りませんでした。」
「セキュリティシステム会社の人に連絡して、システムに不具合がないか確認してもらって。」
「はい、社長。」
担当の警察官との会話を終えた久保清森は真雪の側に歩み寄り、彼女の冷たい表情を見て心配そうに尋ねた。「大丈夫?」
真雪は頷いた。
「唐田秘書に警察に一声かけるよう頼んでおいたよ。彼らはしっかり調査してくれるから、心配しないで。」
「うん、わかった。ありがとう。」
「僕は君の最高のパートナーだよ。お礼なんて言わなくていいさ。」
真雪は思わず笑みを浮かべ、あきれたように清森を横目で見た。気分はようやく少し良くなったようだった。
清森は優しく真雪の頭を撫で、優しい声で言った。「朝食まだでしょ?先に朝食を買ってくるよ。」
「うん、お願い。」
清森は去る前に、散らかったレストランを見回し、眉をひそめて立ち去った。
彼は足早に駐車場へ向かい、車に乗り込むとすぐに唐田浩良に電話をかけ、低い声で尋ねた。「夏目維順を監視している者からの報告は?」
「彼はずっと家にいて外出していません。夏目宣予とも会っていませんし、通話もしていません。」
清森は数秒間沈黙した後、命令した。「引き続き監視を続けろ。必ず真雪のレストランに侵入した者を突き止めろ。」
「はい、社長。」
「宣予の方はどうだ?」
「会社が彼女との契約を解除した後、彼女の精神状態はやや不安定になっています。以前彼女を引き抜こうとしていた会社も、叢雲産業との契約解除を知ってからは、彼女を引き抜く意向はなくなったようです。」