古川真雪はようやく自分が今彼と取っている姿勢がどれほど甘美なものか気づいた。
彼女は我に返り、急いで横のソファに座り直そうとしたが、今度は久保清森が彼女に逃げる機会を与えなかった。
「真雪はどうして急にこんなことに興味を持ったの?」
「ただふと思いついただけ」真雪は自分の太ももを撫でている彼の手を払いのけた。
「あの手紙は全部書斎にあるよ。一番上の本棚に」
「どうして一度も私に言わなかったの?」
彼は可笑しそうに答えた。「君はてっきり僕があの手紙を全部捨てたと思っていたんじゃないの?」
真雪はうなずき、間近にある彼の端正な顔立ちを見つめた。彼の美しい瞳が徐々に情欲の色に染まっていくのが見えた。
彼女は両手で清森の首に腕を回し、突然彼の耳元に顔を寄せて、優しく囁いた。「ちょうど先ほど書斎で偶然あの手紙を見つけたの」
清森は真雪が一番上の本棚に気づくとは思っていなかったが、まさか本当に彼女に見つかるとは。
「あの手紙は昔、僕のことをとても好きだと思っていたお馬鹿な女の子が書いたものだよ。この何年も捨てる気になれなかった」
「へぇ、まだその手紙を取っておくなんて、まだその子のこと好きなの?」
真雪は彼が自分の体に火をつけるのを止めずに任せていた。
「うん、好きだよ。とても」
「彼女である私が怒るのを恐れないの?」
「真雪はそんなに寛大だから、こんな小さなことで怒ったりしないよ」
真雪は彼の首から手を離し、優しい動作で一つ一つシャツのボタンを外していった。
「じゃあ、その子のどこが好きなのか言ってみて?」
彼女の手の優しい動きに、清森はますます自制が効かなくなっていった。
「その子の死ぬほど魅力的なところが好きだよ」
天井のシャンデリアから降り注ぐ暖かな黄色い光が、すべてを甘美で曖昧な雰囲気で包み込んでいた。
……
メディアは真雪と清森が一緒に結婚式に参列した写真をウェイボーに投稿した。
目ざとくネットユーザーが、清森が車から降りて真雪の手を取った時、真雪が清森の大きな手に添えた右手に非常に美しいダイヤの指輪をしていることに気づいた。
そしてそのダイヤの指輪は…どこかで見覚えがあるようだった。
すぐにネットユーザーが掘り起こした。この指輪は以前、清森が真雪にプロポーズした時のダイヤの指輪ではないかと。